講師業


ものづくりをしていた人間からは、想像すらできないことであった。

社会福祉協議会にとって、人前で話をする講師は重要な業務であった。
「福祉とは」「ボランティアとは」「地域福祉とは」などの説明や、福祉関連の人材育成のために、社会福祉協議会が主体となって講演会を開催したり、外部依頼があれば会場に出かけたりした 。

プログラムの作成には自分なりの手順があった。
・単純な福祉制度の知識か、それとも理念の説明か、伝えるべきものを決定。
・起承転結の構造設計。
・下記のようなアイテムを組み合わせて一時間から一時間半の流れにする詳細設計。
・あとはにこやかに本番。

何十回やっても、慣れるということはついぞなかった。

まあ、性格だ!それでいいのだ… と思うのである。

アイテム例
出会いのジャンケンというゲーム →人との競争の世界VS人の関係を重視した世界の意識化
●団塊の世代を意識した大きな制度改革→「介護保険の話」成立秘話
●老いの風景→「ありがとう、すまないね、おいしかったよ」の話
●「江戸後期 木喰五行明満 修行僧の話」【まるまると、まるめまるめよわが心、まん丸丸く、丸くまん丸】→自分のあり方だけでなく、他人との関係でも「丸み」や平等を尊んだ、古来の日本の心を映し出してもいようか。
●西欧文明が浸透する以前の外国人によるいろいろな逸話の紹介。(中日春秋)
 1)【明治期、日本に滞在した英国の言語学者チェンバレン『日本事物誌』の話】 「金持ちは高ぶらず、貧乏人は卑下しない。実に、貧乏人は存在するが、貧困なるものは存在しない。」「ほんものの平等精神が、社会の隅々まで浸透している。」
 2)【明治初期に来日した米国人モース『日本その日その日』の話】隅田川の川開き:船がすれ違う様子「ありがとう」と「ごめんなさい」→「かくの如き優雅と温厚の教訓!」とたたえた。日本人は他人を自然に気遣う品性があった。
 3)【明治初期、英国人ウィリアム・ディクソン、宣教師 渡辺京二『逝きし世の面影』の話】人力車の車夫「友人があなたに病気を治療してもらった。それでささやかなお礼をしたかった。」と言って代金も受け取らず立ち去った。→宣教師は車夫の善徳と品性をたたえた。
●鮭と鷹と私の相違点?
子育てと里山保全ボランティアの共通点?
●阪神淡路大震災へ行ったボランティアとやむを得ずグループの代表になった人との共通点?
●競争の原理VS平等の原理の行動規範
●応じるという意味 → 他人を自分の目的のための手段としない。ただ、自分に応じ、他人に応じる
●「雨にもまけず風にもまけず」の詩を朗読 → 応じるという意味の確認