成年後見


2000年、成年後見制度は介護保険制度と同時に始まった。
早くも19年が経ち、初めての受任であった。

被後見人の人生に関わると、立ち止まることができなくなる 。
次々と押し寄せる事象を処理していくと、明らかに見る景色が違ってくる 。

これからもっと変わっていくだろう。

個別懇談会

今日は成年後見業務を点検をしてもらう懇談会である。
私の場合、3人の成年後見業務の点検である。
点検者は10年以上の経験ある大先輩(男女2名)である。これまでに8名と4名の被後見人の骨を拾った方々だ。
指摘事項は『いまから死後業務の準備をしたほうがよい。』、『被後見人に対する施設の金銭管理の情報をもっと適格に入手すべき ではないか』、『施設と後見人とのやり取りをさらに厳格に行うべきではないか』、『土地・家屋の名義変更は是非自分で経験し、売却は大手の不動産に仲介を頼むとよい』という注文であった。

今後、自分なりに工夫をして実現しようと思うのである

この一年

T氏は二年目、Iさん・Cさんはこの一年で受任した方である。
本人が特定される情報はないと思う。私の成年後見業務を通して、本人の一年を略記したいと思う。

1.ニコニコ顔のTさん

今年の直腸ガンの手術を克服して、認知症病院へ戻ったが、施設に移転の要請が出た。
これ以上の精神加療の必要性がないという判断と手術の予後が良いという判断であった。

昨年も施設への移転要請があったが、コツコツ真面目に働いたので年金がほどほどあり、住民税が非課税とはならない。
その結果、介護保険負担限度額認定申請ができなくて、負担額がもっとも高い第4段階の施設利用料となり、今の年金では入所は無理であった。
なぜ真面目に働いたものが入所できないのかという不合理をこの時は感じたのである。

すぐ退院できないと伝え時間を稼ぎながら調査する。
すると、障害手帳を取れば所得が40万控除され住民税が非課税となることが分かった。
早速、診断書の発行申請をして、精神障害者保健手帳1級が取れた。
これで介護保険負担限度額認定で第3段階となり施設入所可能となった。
しかし、非課税となるのは制度上翌年の6月で、それから限度額認定の申請が7月で、結局約10ヶ月先になる。
そういう矢先直腸ガンとなったのである。

ようやく、今年の秋に2年間に及ぶ医療保護入院から介護老人保健施設に入所できた。
病院の退院時、お世話になった看護師さんやPSWに"Tさんなら、すぐ人気者になるからね"と言ってもらったが、本人は当然理解できず、ニコニコ顔であった。

入所後、面会に行ったら、ニコニコしながら若い女性からリハビリを受けていた。
もちろん毎回私は初対面の人ではあるが、言葉の調子から自分に深く係わる人であると感じているかもしれない。
コツコツ真面目に働いていた人生であるからこそ、Tさんの満面の笑みを守っていくのが私の役目であると改めて思う。

2.亡きお母さんもほっとしただろうIさん

先に父親が亡くなり、自宅で母親が自ら介護保険を使いながら、息子のショートや生活介護を利用しながらで生活していた。
しかし、母親が老人ホームに入所し、周りの介護保険事業者の努力もあって生活が続いたが、その母親も亡くなった。
その時点で私は成年後見人となったのである。

当然自宅には戻れず、既にショートとして利用していた施設が彼を引き受け、無事入所ができた。
入所すると現住所が変わる。住所が変わると後見人の出番である。
年金事務所、銀行、行政窓口(医療・介護・障害)などで住所変更し、今後必要な手続きの書類はすべて後見人へ送るよう依頼する。郵便局に後見人宅への転送手続きをし、東京法務局へ登記事項証明書の変更もある。

母親の埋葬されたお寺に行くと、彼が本家の檀家であると分かる。ご住職の提案により、家裁の許可を得て、離檀して永代供養とし、実家の仏壇の性根抜きをし、彼が亡くなっても両親と一緒の墓に入れるよう手続きをした。
入所とお墓、亡きお母さんもほっとしたことだろう。

残るは、持ち家の保全である持ち家は母親のホーム入所以来空き家になっている。
将来もこの家に戻ることは不可であり、処分することになるだろう。これは家裁への上申事項であり、来年度にじっくりと対処をしたいと思う。

来年の1月は彼の成年後見人として、家裁へ定期報告の提出である。

3.作業所(就労継続支援B型)への復帰を心待ちにしているOさん

彼女の成年後見人をしていた彼は転職先の職場の方針により後見人ができない決まりであった。
そこで私が後を引き継いだ。

ご両親は健在で、すぐ信頼関係ができ、前任者の人柄のお蔭であると思った。
彼女は施設に入所しながら、昼間は毎日作業所に働きに行っている方である。
丁度今年の春頃であるが、行政からの障害福祉サービス給付の継続手続きを済ませ、障害者支援施設・特定相談支援事業所・就労継続支援B型施設等の各利用契約手続きを終えた。

しかし、新型コロナの第1波の頃で、本人とは面会謝絶である。
それで、年金・生活者支給支援給付金・福祉医療助成金の収入とか、施設の利用料の支出とか会計ソフトへ入力したり、コロナでの特別定額支給費10万円の申請などをしたりしながら、本人と会えるタイミングを探っていた。
しかし、施設が用意した面会の機会も、彼女はコロナをどの様に理解しているのか、両親さえも面会を断られている。
最近では、両親に頼まれたコロナ禍でのプレミアム付商品券を本人に渡すタイミングで面会するというストーリーを施設の方と考えた。
しかし、私が待っているアクリル板で仕切られた面会室まで来る直前で拒否をされてしまった。
当然ながら、作業所も休みである。
ケア経過記録をみると、施設内でのリクレーションや実習体験なども不参加で、外出もコロナがあるから行かないと話すと記載されていた。

コロナ禍は施設に入所している方にも多大な影響を与えている。
新年には、作業所が一刻も早く再会されますようにと、近くの神社へお願いすることにしよう。